メキシコのプライベート・エクイティ市場の実態
- Panorama Advisors Insights
- Oct 15
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メキシコのプライベート・エクイティ市場:構成、主要プレイヤー、注目分野、リターン、課題
メキシコのプライベート・エクイティ(PE)市場は、過去20年間で大きく成熟してきた。
かつては限られた投資空間だったが、現在では、グローバルファンド、地域プレイヤー、新興ローカルファンドが参入し、中南米の中でも最も活気ある経済の一つに資金を投じている。近年、ディールの勢いはやや鈍化しているものの、人口動態、産業の多様性、米国への近接性など、ファンダメンタルズは依然として魅力的だ。
主要プレイヤー:誰が市場を動かしているのか
メキシコのPE市場は、国際的な大手、地域密着型ファンド、国内の新興ファンドが混在している。
国際ファンドでは、カーライル(Carlyle)、アドベント・インターナショナル(Advent International)、KKR などが拠点やパートナーシップを通じて存在感を保っている。これらは主に、エネルギー、インフラ、消費財などの成熟分野で大規模な買収や成長投資を行っている。
地域ファンドの代表格は Nexxus Capital や Alta Growth Capital。ミッドマーケット企業やファミリービジネスの成長・再編を支援するケースが多い。
国内ファンドでは、Dalus Capital、IGNIA、DILA Capital などが注目されており、特にスタートアップやベンチャー領域で活動が活発。現地事情への理解が深く、迅速な意思決定力を武器にしている。
資金の行き先:注目の投資分野
メキシコのPEは、以下のような分野に集中している。
消費財・小売:中間層の拡大により、フード、ビバレッジ、サービス業の成長が加速。地域ブランドの全国展開を支援する投資が多い。
ヘルスケア:医療インフラの未整備と需要の増加により、クリニックや検査サービスなどが投資対象として注目されている。
金融サービス・フィンテック:銀行口座を持たない層が多く、デジタル決済やネオバンク、オンライン融資などが急成長している。
物流・インフラ:米国企業の「ニアショアリング(近隣国への生産移転)」により、倉庫、運輸、物流管理の需要が急増。
エネルギー・再生可能エネルギー:政治的リスクはあるが、再エネやミッドストリーム(中流)事業などには依然として投資意欲が強い。
リターンの実態:どれだけ儲かるのか?
メキシコのPE投資は比較的高いリターンが期待できる。**純IRR(内部収益率)は15〜25%**の範囲が一般的とされている。
ミッドマーケットの成長投資は安定的な収益を狙いやすい一方で、フィンテックなどのベンチャー投資はリスクが高いがリターンも大きい。
他国と比べて企業価値評価(バリュエーション)はまだ低めであり、オペレーション改善や戦略的な出口戦略を通じて高い付加価値を生み出せる余地がある。
現在の課題:何が障害になっているのか?
大きな可能性を秘めたメキシコのPE市場だが、現実には以下のような障壁も多い。
規制の不確実性:特にエネルギーや金融分野では、政府の方針変更が頻発。民間投資への警戒感が高く、安定したルールの欠如が問題となっている。
エグジットの難しさ:メキシコの株式市場は小さく、IPOも稀。戦略的買収先も限られ、出口戦略に課題がある。
為替リスク:メキシコペソの変動は大きく、ドル建てファンドにとっては為替ヘッジが必須。だがそれが利回りを圧迫する。
機関投資家の消極性:年金基金(Afore)などの機関投資家の関与は進んでいるが、規制やリスク回避姿勢により資金の流入は限定的。
経済の逆風:インフレ、金利の上昇、GDP成長の鈍化(3%未満)などが、投資先企業の業績や評価に影響を及ぼしている。
メキシコのPE市場は、投資機会が豊富である一方、慎重さも求められる場だ。人口動態、デジタル化、ニアショアリングといったテーマには強い成長期待があるが、政策リスクや出口環境の難しさを乗り越える戦略が必要だ。正しいパートナーと柔軟な投資戦略を持つ投資家にとっては、大きな価値を引き出すチャンスがまだ残されている。








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