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シェインバウム新政権の試練:財政と改革の間で揺れるメキシコ政府

2024年、クラウディア・シェインバウムがメキシコ初の女性大統領として就任したことは、国内外で注目を集めた。しかし、彼女のリーダーシップが試されるのはその象徴性ではなく、経済の不確実性と制度改革の困難さにどう向き合うかである。新政権は、前政権の人気政策を引き継ぎつつも、より構造的な変革を求められている。


財政規律 vs 社会支出のジレンマ


最大の課題の一つは、限られた財政余力の中で社会支出を拡大しつつ、財政健全性をどう維持するかだ。シェインバウム大統領は、教育・医療・貧困対策への支出を強化する一方で、債務の拡大には慎重な姿勢を見せている。


財政赤字を抑えるために、歳出の見直しと税収の強化が議論されているが、短期的な景気圧迫や企業負担増への懸念も根強い。公共部門では、効率化や無駄の削減が加速する一方、現場の職員にはリソース不足が深刻化する可能性もある。


エネルギー改革:国営の復権か、競争の促進か


シェインバウム政権は、前政権が掲げた「エネルギー主権」の路線を概ね継承しつつ、再生可能エネルギーへの投資促進を打ち出している。特にCFE(連邦電力委員会)やPEMEX(国営石油会社)といった国営企業の強化が政策の柱となっており、公共セクターにとっては資源集中と予算優遇のメリットがある。


ただし、民間投資とのバランスを誤れば、外資離れやエネルギー供給の不安定化といったリスクも伴う。特に地方自治体にとっては、中央依存の構造が強まり、地域のエネルギー政策に自由度が失われる懸念がある。


司法制度改革:信頼回復への第一歩


司法制度改革も重要なアジェンダの一つだ。腐敗撲滅と透明性向上を目的に、連邦検察の独立性や裁判所の効率化が議論されている。これにより、公共セクターの不正防止対策も強化され、政府内のコンプライアンス体制の見直しが進むだろう。


ただし、改革が実現するかどうかは政治的な交渉力と実行力にかかっており、現場の官僚や

行政職にも大きな意識改革が求められる。


新政権の動向は、メキシコの公共セクター全体に構造的な影響を及ぼす。財政の限界、エネルギーの再編、司法制度の刷新という三重苦にどう対応していくかが、今後の行政の安定と信頼を左右することになるだろう。


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